ショートカット


RealPCR SARS-CoV-2 (COVID-19)検査

要約

IDEXXでは、新型コロナウイルス(COVID-19)の病原体であるSARS-CoV-2を検出する新しい動物用リアルタイム PCR 検査(RealPCR™検査)を開発しました。IDEXXのRealPCR検査は、カリフォルニア州ウェストサクラメントにある分子生物学的検査(PCR)センターでリアルタイムPCR法を基に検査系を設計・標準化し、検査を実施しています。

このRealPCR SARS-CoV-2 (COVID-19)検査は、SARS-CoV-2の塩基配列を特異的に検出するものであり、ペットによく見られる他のコロナウイルスを誤って検出することはありません。同様に、現在提供しているペットのコロナウイルスを検出するためのRealPCR検査が、SARS-CoV-2を誤って検出することもありません。このSARS-CoV-2 検査を用いて、これまでに3,500検体以上の犬、猫、馬検体のスクリーニング検査を実施しました。これらの検体は、2020年2月14日から4週間にわたって米国と韓国で採取されたものであり、このなかにはシアトルをはじめとするCOVID-19が実際にヒトで発生している地域が含まれています。検査系の確立には、RealPCR 呼吸器疾患パネルとして受託した検体を主に用いています。さらに、これらの検体は、検査精度を検証するために米国疾病予防管理センター(CDC)で実施している3種のSARS-CoV-2検査も同時に行っています。しかしながら、現在までに陽性反応を示した検体は1つもありません。米国、カナダおよび欧州のIDEXXでは、RealPCR呼吸器疾患パネルの検査として受託した犬猫の検体を用いて独自にモニタリングを行っています。(日本ではSARS-Co-V2の検査やモニタリングは行っておりません。また、検体を海外へ空輸し検査をすることもできません。)

検査精度と特異性の検証

RealPCR SARS-CoV-2 (COVID-19)検査では、CDCで行われている検査と同じヌクレオカプシド遺伝子を標的にしています。本標的遺伝子には保存性の高い領域が含まれており、この部分領域を用いて検査条件を検討し、標準化しました。検査精度の検証には、事前にBLAST検索による相同性の評価を行っています。また、陽性コントロールとして人工的に合成した配列を用いて、十分なシグナル強度が得られ、増幅効率や同一検査内または検査間の再現性、相関性に問題がないことを確認しています。さらに、確認検査としてCDCが公開・実施している3種の標準検査法(2020年1月24日公開1,2)を同時に採用し、評価に加えています。

SARS-CoV-2 に対するRealPCR SARS-CoV-2 (COVID-19)検査とCDCの3種の標準検査法の特異性を評価するために、動物のコロナウイルスの合成配列に加えて、既存のRealPCR検査として受託した検体の中で犬呼吸器コロナウイルス、犬腸コロナウイルス、猫腸コロナウイルス、馬腸コロナウイルスが陽性であった検体を用いて検証を行いました。また、リアルタイムPCR検査の検証を行う際には、下記のコントロール検体を加えました。

  • 陰性抽出コントロール:すべての陰性抽出コントロールはPCR検査で陰性と判定。
  • 内部コントロール遺伝子を標的にしたTaqMan®プローブ法によるリアルタイムPCR検査を使った検査前品質評価:陽性、陰性結果に関わらず、すべての検体は品質管理検査を通過。
  • PCR陰性コントロール:すべての陰性コントロールは陰性と判定。
  • PCR陽性コントロール:すべての陽性コントロール(人工合成配列)は陽性と判定。
  • 環境中のコンタミネーションのモニタリング:同一施設内の異なる場所から採取した検体はすべて陰性。

すべての検体はRealPCR SARS-CoV-2 (COVID-19)検査においても、またCDCの3種の標準検査法においても、結果は陰性でした。

スクリーニング検査の検体

2020年2月14日~3月12日にかけて、3,500検体以上の検体を使ってスクリーニング検査を行いました。供試検体は、犬、猫、馬の呼吸器疾患および下痢のRealPCR検査を目的にIDEXXが受託した検体から無作為に選出しました。スクリーニング検査に供試した初期の検体には、スワブ検体と糞便検体が含まれており、スワブ検体の多くは咽頭部の奥または結膜から採取されたものです。

検体の内訳:
  • 採材地域:米国(50州すべてを含む)および韓国
  • 動物種:犬55%、猫41%、馬4%
  • 採材部位:呼吸器77%、糞便23%

参考資料

  1. Centers for Disease Control and Prevention, Division of Viral Diseases. CDC 2019-Novel Coronavirus (2019-nCoV) Real-Time RT-PCR Diagnostic Panel Instructions for Use. CDC publication CDC-006-00019, Revision: 02. www.fda.gov/media/134922/download. 2020. 2020年3月16日時点.

  2. Centers for Disease Control and Prevention, Division of Viral Diseases. Research Use Only Real-Time RT-PCR Protocol for Identification of 2019-nCoV. www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/lab/rt-pcr-detection-instructions.html. Updated March 14, 2020. 2020年3月16日時点.

カスタマーサポートへのお問い合わせ

公衆衛生またはその他のお問い合わせ:  ここをクリック